ユーロが対ドルで2006年3月以来の安値圏…2010/6/8
ユーロが対ドルで2006年3月以来の安値
- (NY市場のユーロの安値について)「米雇用統計とハンガリーへの懸念を受けた売りは、やや行き過ぎだった。しかしショートを切らされてユーロが上げると、投資家はまたショートを再度積み上げる。先週の動きは行き過ぎだったが、ユーロの先行きは明るくない」(UBSのシニアストラテジスト、アメリア・ブルドゥ氏)
- ユーロの次のオプションのトリガーは1.1850ドル、次いで06年3月の安値1.1825ドルが支持線となっている。その次は05年11月の安値1.1638ドルまでほとんど支持線はない状態という。ユーロ導入時の1.1747ドルも注目ポイント。
- 東京外国為替市場ではユーロが対ドルで2006年3月以来の安値圏となる1ユーロ=1.19ドル台前半で推移している。
- ハンガリーの財政不安などをきっかけとした急激なユーロ安には一服感が出ているものの、欧州の債務危機拡大への懸念が根強く、ユーロは積極的に買いにくい状況が続いている。
- ユーロ・円相場は1ユーロ=109円台前半。7日に付けた2001年11月以来のユーロ安値、108円8銭は上回っているが、世界的な株安を背景にリスク回避の動きが警戒されるなか、ユーロの上値は限定的となっている。
ハンガリーのドイツ金融機関への依存度の高さ故に、ハンガリーの債務危機は欧州の債務危機でもあるという。東欧の問題も同様に飛び火するかもしれない。 東京市場では前日の急激なユーロ下落の調整が入っているようだが、下落基調である事に変わりは無い。下値が見えないユーロだけに、個人投資家のユーロ買い持ちが膨らんでいるのが気になる。機関投資家は対照的にユーロを売っている。(編集部)
ユーロ発のリスク回避は継続
- (東京外為市場では)ユーロが一段と大きく下げるような「シリアスな状態はとりあえず回避できている」(外銀)という。しかし、ユーロ圏から欧州新興国に広がり始めた懸念は相変わらずで、市場ではユーロの先安見通しが依然として大勢。すでに短期筋のポジションが大幅な売り持ちに傾いているため「値動きが鈍ると買い戻しが入りやすいが、(反落は)時間の問題」(邦銀)との見方が根強い。
- 欧州債務問題に対する警戒感は根強く、米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は5月の水準から低下しているが、高水準にとどまっている。
- ギリシャ債務危機を受けて世界的な景気回復期待が後退する中、米国は中国とブラジルを抜いて最も魅力ある市場と投資家に受け止められている。
- ブルームバーグ端末を利用する世界の投資家やアナリストを対象にした四半期調査の結果によると、今後1年で最高の投資機会を提供している市場として米国を挙げたのは回答者の4割近くに上り、昨年10月調査の2倍強に達した。
- ギリシャ財政危機でデフォルト(債務不履行)懸念が浮上し欧州全般に波紋が広がる中、国際的な投資マネーが大量に米国債に流入。10年物米国債利回りは4月5日の3.99%からニューヨーク時間7日午後4時18分(日本時間8日午前5時18分)現在3.15%に低下している。
先日来の株安で、株式市場は為替市場を気にし、為替市場は株式市場を気にした神経質な動きになっているという。リスク資産から安産資産へ世界のマネーが移動している。ドル買い、円買いとなるところだが、菅首相の円安バイアスのかかったイメージの影響も考慮する必要がありそうだ。 2010年の3月10日以降のドル/円、ユーロ/ドル、日経平均、ナスダック、ロンドン金の価格推移をパーセント表示で比べてみた。ギリシャショック以後の安全資産の代表の金の上昇、円に対する米ドルの上昇、株価の下落が顕著だ。勿論、対米ドルのユーロの下落は言うまでもない。(編集部)