ユーロ空売り禁止で急落、下値メドが見えない…2010/5/19
独空売り禁止でユーロが対ドルで4年ぶり安値
- (東京市場は)前日の海外市場で、ドイツの金融当局がユーロ圏国債の空売り禁止を打ち出したことで、米株が下落し、ドル売り・円買いが活発化した流れを引き継いだ。
- (独金融当局の空売り禁止について)「ユーロ圏諸国の国債価格が安定する効果も期待できるが、投資家がリスクを取りづらい状況で、さらに手足を縛られた」(国内証券)
- 「ユーロ安基調はしばらく続く。ユーロは1カ月以内に対ドルで1.1600ドル、対円で108円程度まで下落することもあり得る」(国内証券)
- 「ユーロ円は下値のめどが見えない。ただ、6日に海外市場で付けた110円50銭近辺が心理的な節目になるだろう」(邦銀)
- 「ドイツがネーキッドショートセリングの禁止を決めたことで、欧州の株式や債券を売れない向きが自らの意思表明を行うとすれば、通貨(ユーロ)を売り、資金を別の場所に引き揚げるしか選択肢がない」(バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのシニア為替ストラテジスト、マイケル・ウルフォーク氏)
- EBSによると、ユーロは一時1.2161ドルと1.22ドルを割り込み、2006年4月以来の安値をつけた。
ユーロの悲劇はまだまだ続きそうだ。対ドルだけでなく対円でも下げ幅を拡大しているのは深刻だ。かつてのユーロとドルのシーソーゲームの様なバランスは、もう復活しないのかもしれない。(編集部)
ユーロ圏から逃避するマネー
- 一部のグローバル投資家がユーロ圏から資金の引き揚げに動き始めた。これまでユーロ安は投機マネーの売り仕掛けが主流だったが、欧州当局の対策発表後も市場の危機モードが収束せず、ついに大手投資家もポートフォリオの見直しに動かざるを得なくなってきたという。
- 欧州ソブリンリスクの深刻化で不確実性が高まる中、グローバルマネーの「質への逃避」の主な受け皿は米国債のようだ。
- 他方、米国債への資本流入は、「質への逃避」に象徴される品質や信用力の観点より、単に流動性の高さが注目されているとの指摘がある。
- 「米国の財政の内容は悪く、米国債はあくまで相対的な安全資産としか言えないだろう。ただ、現状では、ソブリンリスクの連鎖が起こるかもしれないという懸念が広がるなか、不確実性の裏返しとして、流動性に優れた米国債が志向されている」「ユーロ金利の先行き見通しも低下しており、投資家にとってはユーロ資産を長期保有してもインカムを得にくい」(第一生命経済研究所・経済調査部・主席エコノミストの熊野英生氏)
投機筋はユーロ売り、FXユーザーはユーロ買いという興味深い現象がおきている。下記は外為どっとコムのポジションバランス。(編集部)